佐倉牧は千葉県の北東、下総台地の広がる酒々井町、八街市、富里市、成田市、香取市、また多古町、山武市、東金市の一部にあります。江戸中期には小間子牧、内野牧、柳沢牧、取香牧、高野牧、矢作牧、油田牧の七牧があり佐倉七牧と総称されていました。牧の面積は成田国際空港の約2倍で約18,000 ha、南北32㎞の広大な牧場で約3,000頭の馬が放牧されていました。佐倉牧は江戸時代の初期から中期にかけて新田開発の対象となりましたが、江戸時代を通じ軍馬・駄馬・農耕馬を生産する房総最大の馬牧でした。明治以降に開墾地に転用された広大な牧跡はスイカ、落花生、サツマイモの大生産地となっており、広々とした耕地に残された牧の遺構とともに独特の景観を創り出しています。また羊毛生産のための綿羊試験馬、馬の品種改良、獣医学の実習場などを経て造られた御料牧場跡や競走馬、乗馬クラブなど馬のある風景が見られます。