小金牧は千葉県の北西の柏市、松戸市、鎌ヶ谷市、船橋市に広がる平坦な台地、通称小金原と印西市のテクラ原にあり、江戸後期には高田台牧・上野牧・中野牧・下野牧・印西牧の五牧からなっていました。牧の面積は羽田空港に等しい約15,000 ha、幕末にはナポレオン三世から送られたアラブ馬を含め約1,000頭の馬が放牧されていました。江戸に近い小金牧は、江戸時代の初期から中期にかけて新田開発がなされ梨などの商品作物が作られていました。また牧の風景や行事・将軍の鹿狩なは広重・国芳などの絵画や芭蕉・一茶の紀行文などに取り上げられるなど江戸庶民にも知られていた場所でした。明治以降に開墾地・軍用地に転用され戦後は住宅地化が著しく、小金の馬牧は街並に埋もれてはいますが地名・牧の遺構、牧士の居宅などが小金牧を今に伝えています。